日本の伝統食品の中で、そばは特に熱心に残されているも のの一つである。
石臼挽き、または石臼そばと称するそば屋がある。
西洋には石臼挽きパン屋があるように、伝統を正確に生かしているという意味が
石臼という文字に込められている。
しかし店先に石臼が飾ってあるからといって、そば粉が石臼挽きとは限らない。
本当に石臼挽きでも、輸入そばでは意味がない。
輸入玄そばに比べると国産そばは格段に高価で、しかも産地の土質や気候にもよ
るから、本物に出会うのは容易ではない。
実はそこに贅沢があり、通の楽しみがある。 三輪茂雄著「粉の文化史」より
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