ライスブレッド

   米の伝統的な調理方法…

 

米をゆでる(炊きこぼす)方法

塩を少量加えた多量の熱湯中に米を入れてゆで、好みの固さに煮えたところで、ざるに上げてゆで汁を切る。
またさらにゆで汁を切った米の熱いうちにバター、塩、こしょうなどを混ぜ合わせて味をつけ、そのまま鍋を弱火にかけるか、鍋ごとオーブンの中に入れて水分を取り、ぱらりとした状態に仕上げることもある。
またゆでる場合、熱湯の中に塩のほかサフランやカレー粉などのスパイス類を混ぜることもある。
これらの方法は米の粘りの少ないものを好む場合に用いる方法で、多くヨーロッパの各地域で行われ、主食用のほかに魚や肉料理の付け合わせ、スープの浮き実に用いる。
またほかの魚介類、肉類、野菜類などと混ぜ合わせて、オードブルやサラダ、または菓子の材料として用いる場合に多く利用する。
水の中にサフランやカレー粉などのスパイス類を入れて炊く方法は、多くフランス南部、スペイン、イタリア、南アメリカ、中近東などで用いられる。

米を水で炊く方法

日本の白飯の炊き方のように、洗った米にその量の何割増しかの水を加えて水分がすっかりなくなるように炊く方法で、これは、米を主食または主食の一部として食べる日本、韓国、北朝鮮、中国、東南アジア全域、中近東、南アフリカ、アメリカ、中央・南アメリカで用いる方法である。
また、この方法で炊く場合、水の中の各種の調味料、スパイス類などを混ぜ、さらに魚介類、肉類、野菜類その他の材料を混ぜて炊くこともある(たとえば日本の五目飯,中国の菜飯等)。

米を油脂類で炒めてから炊く方法

米を生のままバターや植物油などでさらりと炒め、それに水やスープ・ストックなどをさして塩、こしょうの味でぱらりとした状態に炊きあげる。
これは多くヨーロッパ、中近東、アメリカその他西洋諸国で用いる方法である。
またその中に魚介類、野菜、スパイス類などを混ぜて炊きあげることもあり、主食として用いるほかに、一種の米料理として用いられ、またそのほかに魚や肉料理の付け合わせとしても用いられる(インドのライス・プラウ、トルコのピラフ、スペインのパエリャ、フランスの鳥料理の付け合わせ、メキスコのソッパ・デ・アロス等)

米を蒸す方法

日本の赤飯のように、多量の湯を煮立て、盛んに蒸気の立つ上に米を入れた蒸し器を載せて蒸す方法である。
これは料理法として蒸し物を多く利用する東洋的な方法で、蒸す料理の少ない西洋では用いない。
日本、韓国、北朝鮮、中国、東南アジアで多く用いられ、それも粳米ではなく、ほとんど糯米を用いる(日本の赤飯、韓国の薬飯、中国の八宝飯、ベトナムのコム・ネップ等)。

米を木の葉や竹の皮に包んで蒸したりゆでたりする方法

糯米を竹の皮、クマザサ、バナナの葉、ヤシの葉などで包み、そのまま熱湯の中に入れてゆでたり、または蒸し器で蒸す方法である。この方法も東洋的なもので、日本、韓国、北朝鮮、中国、東南アジア諸国などで昔から用いられている。
人間の生活の知恵ともいうべきもので、植物の葉や皮で包むことによって中の米の形をまとめ、風味を添え、また腐敗を防ぐという利点がある(日本の粽やあく餅、中国の粽や荷ホーイ プ飲 ファン、マラヤのクトッパッ、インドネシアのルンプル・メナド等) 
 

多量の水でごく柔らかに炊く方法

米の量の五〜十倍の水を入れてごく柔らかく炊く方法で、かゆという。
この方法は日本、韓国、北朝鮮、中国、東南アジアなどで多く利用される。
かゆは消化がよいので、病人食や老人、子供などの主食になる。
また日本でも京都地方では朝食用にかゆを作る習慣があり、中国でも朝食にはかゆを用いるところが多い。
かゆには用途によって、水だけで炊いた白がゆのほかに、魚介類、肉類、野菜類を混ぜて炊いた栄養的なものもある。
雑炊やおじやなどと呼ばれるものもこの一種である。
東洋ばかりでなく西洋でもスペインやウルグアイなどには、米の量こそ少ないが肉や野菜をたっぷりと使ってかゆのように作り上げた、洋風がゆとも考えられるスープの一種のソッパ・デ・パペサがある。

炊いた白飯を油脂で炒めて味を付ける方法

一度炊いてさました白飯をラードや植物油でぱらぱらになるように炒め、その中に魚介類、肉類、卵、野菜類などを混ぜ合わせて味を付ける方法で、これは多くさめた白飯の利用法として用いられる(中国の炒飯、日本のチキンライス、ハムライス等)。

 

乾飯(ほしいい)

一度蒸した米を乾燥させたもので、保存や形態に便利なため、昔は軍用食や旅行用の携帯食として、そのままかじったり、水や湯につけて戻したり、炒ったりして用いた。 戦前までは日本の家庭でも残った白飯をむだにしないために、乾燥させてとっておき、炒り揚げてあられなどを作った。

粳米や糯米で作ったものはおこしあられなどの製菓用にするほか、糯米で作ったものは道明寺といって料理や菓子の材料に用いる。

蒸した糯米をつきつぶして作るもので、なにも混ぜない白餅のほかに、好みによって種々な材料(ゴマ、青のり、蒸した大豆、黒豆、サツマイモ、塩、砂糖、水飴など)を混ぜて風味や色を添えて作ったもの、またそれを乾燥させたかき餅あんこを包んで作る餡餅などがある。餅は日本、中国、北朝鮮、韓国などで利用されている。

米を粉にして利用する方法

粳米を生のまま粉にしたものをしん粉といい、糯米を同様にしたものをもち粉という。日本ではいずれも水や熱湯でこねて団子にしたり、蒸し菓子などの材料にしたり、料理面では揚げ物の衣や、つなぎの材料、麺類の材料にも用いる。日本、韓国、北朝鮮中国、東南アジア各国で多く利用するが、ヨーロッパでも料理の濃度つけなどで使うことがある。

  

ブリタニカ百科事典1972年版より